
学校の帰り道、いつものように電車に揺られて家路へと向かっていた。
時間は夜8時、帰宅の人の群れの中に優先席を我が物顔で座る高校生達。
そんな光景が目に付いた。
あぁ、こんな時おばあさんでも乗ってきたらどうするんだろう……。
その時私はどこか他人事のように考えていた。
嫌な予感は的中し、次の駅から祖母と同じくらいの老婆が乗り込んできた。
手には杖を持ち腰は猫のように丸くなっている所謂典型的な老婆だ。
すると私の前に座っていた、老婆と同じ年代だと思われる男性が立ち上がり
「私の変わりに座ってくれませんか?」
私も、周囲の人も、喋っていた高校生もそして言われた老婆も目を丸くして驚いた。
けれどいち早く正気に戻った老婆が
「えぇ、ありがとう」
にっこり笑って言ったのだ。
これを見ていた私は勿論、優先席に座っていた高校生も
他人事のように見ていた周囲の人も顔を真っ赤にしたり、
俯いたのは言うまでもない。
これからは恥ずかしくてもお年寄りに席を譲ろうと思った、そんな帰り道。